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つみたてNISAを始めたくても始められない方へ(基礎編3): 銀行、証券どちらを選ぶ?

 

前回の記事では、以下のことをお伝えしました。

 

    1.つみたてNISAの商品は、基本的に2種類だけ

 2.2種類それぞれにどんな人が向いているか

   

前回の記事はこちら↓

smutexas.hatenablog.com

 

今回より、いよいよ具体的に購入する方法に入ります。

まずは、「どの金融機関でつみたてNISA口座を開くべきか」についてご紹介します。

 

つみたてNISAを扱う金融機関はいろいろある。

 

つみたてNISAを扱う金融機関は、下の図のように、いろんな種類があります。 

つみたてNISA口座、どこで開くべき?

では、どこで口座を開くべきなのでしょうか?

 

ここでは、つみたてNISAを扱う金融機関を5つの種類に分けて、メリットとデメリット、そしてどんな方が向いているのかを考えてみます。

 

銀行・信用金庫(店舗あり)のメリットは、身近さと絞られた商品数。

 

店舗のある銀行や信用金庫等でつみたてNISA口座を開くメリットは、その身近さにあります。 

 

たいていの街には銀行や信用金庫の本店、支店があるので、「つみたてNISA」の話を聞きたい、と思えば、ATMで入出金したり、窓口で振込したりするついでに、資産運用窓口で話を聞くことができるでしょう。

 

この手軽さが、自分で基礎知識を学び、商品を探すネット専用銀行や証券と大きく違う点です。

 

さらに、つみたてNISAの商品数が選びやすいように絞られている点もメリットです。

 

「何を選べばよいのか?」迷ってしまう方にとっては、選択肢が多すぎるのは苦痛です。 そんな方には、あらかじめ銀行や信用金庫が、利用する顧客層に合わせて選別した商品の中から選ぶ方が、選びやすいはずです。

 

なお、2022年11月末現在でつみたてNISAの全商品数は216ありますが、銀行や信用金庫等でこれらが全て売られていることはなく、商品数は少ないところで5未満、多いところでも30程度です。※

 

※筆者の調べた範囲であり、全ての金融機関に当てはまる訳ではありません。

 

銀行・信用金庫等の例。 つみたてNISA商品数は絞られている。

 

ネット銀行のメリットは、ネット決済に慣れた方が手軽に始められる点

 

すでにネット銀行に口座を持っていたり、普段からQRコード決済を使っている方は、すでにネット上の操作に慣れているはずですので、ネット上で口座開設できる手軽さメリットです。 

 

たとえばアプリ上で申込フォームを作成し、そのまま身分証明書をカメラで撮影して送信して口座開設手続きを完了させることが可能です。

 

また、ネット銀行によっては、他社にない特色を出しているところもあります。

たとえばPaypay銀行は、取り扱いファンド数が80本近くあり(2022年5月現在)、「銀行最多」を誇っています。

 

ただし、ネット銀行自体の数は限られる上、つみたてNISAや投資信託自体を取り扱っていない所(例、ソニー銀行)もあり、口座開設先としてはまだ一般的とは言えない状況です。

 

証券会社(店舗あり)のメリットは、つみたてNISA以外の商品の豊富さ

もしつみたてNISAだけしか運用や投資をしない、という方にとっては、店舗のある証券会社で口座を開くメリットはあまりないかも知れません。

 

というのも、たいていの方は銀行・信用金庫ほど証券会社は身近ではない上、商品数も一部を除き、銀行・信用金庫ほど変わりません。

 

証券会社(店舗あり)も、一部を除き商品数は絞られている。

それなら、近所の銀行や信用金庫で口座を開いた方がいい、と思うかも知れません。

しかし、店舗のある証券会社で開くメリットは、つみたてNISA以外の商品の豊富さです。

 

特に大手の証券会社では、銀行では扱えないさまざまな投資商品が揃っています。

株式、投資信託、債券などが、円建て、外貨建てで購入できる上、新規上場株や新発の債券などの情報をいち早く仕入れることができます。

 

つまり、つみたてNISAを始めたけれど、もっと投資残高を増やしたい、いろんな商品を検討したい、そして、担当者と相談しながら売買したい場合は、店舗ありの証券会社での口座開設がおすすめです。

 

ネット証券のメリットは、つみたてNISA商品ラインアップの豊富さ

 

ネット証券ではつみたてNISAの商品数が豊富です。

たとえばSBI証券185本楽天証券183本(いずれも2022年12月6日現在)と、つみたてNISA全商品数の8割以上を、これらの証券会社で買うことができます。

 

商品数を絞り込んでいる銀行や店舗あり証券会社と対照的ですが、ネット証券は「自分で豊富な商品から選びたい」方に向いていると言えるでしょう。

 

従って、自分で選ぶのが苦痛な方には向いていませんが、最近はウェブサイト上でも自分に合ったファンドを選びやすくなったり、ロボアドバイザーを利用できるなど、店舗ありの証券会社との差は狭まってきていると言えるでしょう。

 

これから少しでもネットに慣れよう、という方は試してみてはいかがでしょうか。

 

その他(ゆうちょ銀行、JAバンク)は、「安心」がメリット

 

つみたてNISAは、日本全国で身近な金融機関、ゆうちょ銀行やJAバンクでも口座を開くことができます。

 

この2行の特徴は、とにかく「身近で安心な点」に尽きます。

まず、商品数はゆうちょが12、JAが4と、前述の銀行や信用金庫と変わりません。

 


また、商品ラインアップにも、この2行の特徴が表れています。

ゆうちょ銀行も、JAバンクも身近で安心をモットーとする金融機関。

そのためか、値動きが比較的激しいアクティブファンドの本数は、ゆうちょがゼロ、JAバンクは1のみです。

 

「リスクを取って大きく増やしたいとは思わない。 安心安全でよい。」

そんな方にとっては、この2行で口座を開設するのもよいでしょう。

しかし、それ以上のものを求める場合は、おすすめできません。

 

金融機関別、向いているのはこんな方

 

最後に、これまで紹介した金融機関で、どんな方が向いているのかをまとめました。

金融機関選びの参考にして下さい。

 

 

次回は、つみたてNISAのコストや、ファンド選びのポイントを解説します。

つみたてNISAを始めたくても始められない方へ(基礎編2):たった2種類の中から選ぶ

 

前回の記事では、つみたてNISAを始めるなら、まずはどんな銘柄(商品)でもよいので、少額1万円から始めてみましょう、とアドバイスしました。

 

(前回の記事↓)

smutexas.hatenablog.com

 

これで、実際につみたてNISAを始められればよいのですが、一方で「当てずっぽうで選んでもよい」と言われると、かえって選べなくなってしまう人もいるはずです。

 

今日はそんな方のために、

 

「つみたてNISAの商品にはどのようなものがあるのか」

「どうやって選べばよいか」

 

についてお伝えします。

 

つみたてNISAの商品数は、わずか216本。

 

つみたてNISAの話でも聞こうと、証券会社や郵便局の窓口へ行けばどさっと渡されるパンフレット。 

その中から選ぼうと思うだけで頭が痛くなりそうです。

 

しかし、実はつみたてNISAの商品数はそれほど多くありません。

その数は、2022年11月末現在で216本。

 

日本で購入できる投資信託の数約6,000本と比べると、つみたてNISAの商品数はかなり少ないです。

 

その理由は、政府(金融庁)がつみたてNISA用の商品に一定の規模やコスト等、厳しい基準を設けているためです。 その基準をクリアした商品だけが、つみたてNISAで購入できるわけです。

 

商品は大きく分けると2種類のみ。

 

つみたてNISAの216種類の商品には、どんなものがあるのでしょうか?

 

その答えは「投資信託」ですが、その種類は公募・私募投信、国内・外国など多岐に渡ります。

この時点で頭が混乱してしまいそうですが、つみたてNISAの商品分類は比較的単純で、大きく分けて以下の2つだけです。

 

    1.「株式」に連動する投資信託         101本

    2.「株式」「他の資産」に連動する投資信託  115本

 

 

「株式に連動」と、「株式と他の資産との組み合わせ」の意味は?


それでは、「株式」に連動する投資信託とは、どんなものでしょうか?

実は、ここでいう「株式」とは、トヨタSONYなどの単一銘柄ではなく、日経平均TOPIXなど、株式市場に上場している株式の集合体です。

 

この集合体の値動きに連動する投資信託こそが、「株式」に連動する投資信託です。

 

一方、「株式」と「他の資産」の組み合わせとは、その名の通り、株式に他の資産を組み合わせた投資信託です。

 

組み合わされる資産は、不動産投資信託J-REIT)や債券が中心ですが、商品によって、組み合わせ比率に違いがあります。

 

どちらのタイプを選ぶべき?

 

それでは、つみたてNISAを始めるに当たって、この2種類の内、どちらを選べばいいのでしょうか?

 

厳密には、この2種類はさらに「国内か海外か」、「連動する指標は何種類か」、「積極型か安定型か」などに分類でき、その結果によって向き・不向きが変わってきます。

 

しかしこの記事の目的は、つみたてNISAの第一歩を躊躇している方に踏み出して頂くことですので、とりあえず細かい話は抜きにしましょう。

 

まず、「株式」に連動する投資信託に向いている方は、こんな方です。

 

● ニュースなどで値動きを日々知っておきたい人。


● 自分で他の投資信託と組み合わせて運用したい方。


● 有名な指標に連動する安心感を得たい方。

 

日本の株式市場における日経平均(日経225)やTOPIXアメリカの株式市場ではダウ平均やS&P500などは、ニュースでもおなじみです。

 

指標の動きを追うのは難しくないので、これらの指標に連動する投資信託を購入しておけば安心、という方や、自分で株式以外の資産と連動する投資信託と組み合わせたい人などにお勧めです。

 

一方、「株式」+「他の資産」に連動する投資信託に向いている方は、こんな方です。

 

● 日々値動きを見なくてもよく、放置しておきたい方。


● いろんな資産に投資したいが、自分で組み合わせるのは面倒。


● リスク分散させて投資したい。

 

投資信託も初めて、つみたてNISAも初めて、という方は、こちらから始めた方がよいかも知れません。

 

こちらは一つの投資信託で複数の資産に投資するリスク分散効果を得られる上、分散の方法によって、値動きを押さえた安定型と、リスクは高めだが利益を追求できる積極型など、選択肢も豊富です。

 

最後に(次回予告)

 

今回は、つみたてNISAを2種類に分類して、そのどちらを購入すべきか、についてお伝えしましたが、次回は、具体的な商品を見ながら、より実践的な内容でお届けする予定です。

 

(筆者について)

神奈川県横浜市で「人生の転機における財産やお金の問題」の解決支援を行うZ Financial & Associatesを運営しています。

つみたてNISAを始めたくても始められない方へ(基礎編1):少額で始めてみる。

 

「つみたて」NISA。

年間40万円の投資限度額範囲内で、20年間非課税で運用できる制度です。

2018年から始まり、口座開設数は2022年6月末時点で434万口座に達しています。

 

制度が始まった当初はあまり知られてませんでしたが、私の周りでも最近は投資未経験の方が「つみたてNISA」を口にすることも増えてきました。

 

しかし、「つみたてNISA」という名前は知っていても、始めるとなるとまた別です。

一歩を踏み出せない多くの方が、こうおっしゃります。

 

一体何から始めたらいいのか分からない。

 

人によっては分からないまま時間が経ってしまい、そのまま投資を諦めてしまう。

それは勿体ないです。

 

そこで、同じ悩みを抱えている方に向けて、一歩前に進む方法をご紹介します。

 

 

分からない、面倒くさいは普通のこと。

 

始められない方の悩みは、まだまだあります。

 

「どこで始めるのか分からない。」

「数ある商品の中でどれを選べばいいのか分からない。」

「面倒くさい。」

 

こうした悩みは、投資を(始めたくても)始められない方にとっては一般的なものです。

 

事実、QUICKが2022年に行った、「資産形成・資産運用の必要性を感じているのに、金融商品保有しない理由」を調べた調査を見ると、こうした悩みが普通であることがよく分かります。

 

出典: Quick Money World

多くの悩みに共通する、「損をしたくない」心理。

それでは、これらの悩みを抱えている方が「第一歩」を踏み出すには、どうすればよいのでしょうか?

 

そのカギは、先ほどの調査結果の第2位にあります。

つまり、「損をしそうだ(過去に損をした)から」という理由です。

 

この「損への恐れ」という心理が、始められないその他の理由にも共通していることが伺えます。

 

始められない理由:「どうやって始めたらよいのか分からない。」

その心理: 「間違った所で買って失敗したくない。

 

始められない理由:「まとまった資金がない。」

その心理: 「なけなしの資金を損で失いたくない。

 

始められない理由:「商品に関する知識がないから。」

その心理:「変な投資商品を選んで損をしたくない。

 

つまり、多くの始められない理由の根底に多かれ少なかれ「損をしたくない」という心理があるはずです。

 

ですから、これに対処しつつ、始めの一歩を踏み出すコツは、「損をしたくない心理を乗り越える方法で始める」ことだと言えます。

 

そこで、まずは少額で一つ買ってみる。

 

では、具体的にどうやって損をしたくない心理を乗り越えればよいのでしょうか。

その答えは簡単です。

少額から始めればよいのです。

 

まずは、どの銘柄でもよいので、最低購入金額の月1万円から買ってみましょう。

 

「どの銘柄でもよいので」というのはいささか乱暴に聞こえるかもしれません。

しかし、最低金額の投資であれば、例え商品選びを間違っても、その損失は最小限に抑えることができます。

 

月1万円のつみたてなら、年間の累計で12万円。

例えば、この時点で買付時から3%値下がりしても、損失は3,600円です。

 

この程度の損失なら許容できるのではないでしょうか。

もし耐えられる、と思えれば、次にもう少し積立額を増やしてみるなど、試行錯誤を繰り返してみる。

 

このようなことを繰り返すことで、「自分が思っていたよりも、そんなに価格変動リスクは怖くない。」と思えればしめたものです。

 

もちろん、そこで味をしめて、自分が耐えられる以上の損失を被りかねないほど投資額を増やすべきではありません。

 

しかし、つみたてNISAの投資額は年間40万円に限られているため、限度枠を最大限利用したとしても、大打撃を被るような損失にはならないはずです。

 

長続きの秘訣は、日々の値動きはなるべく見ないこと。

どうでしょう。 少額なら始められそうでしょうか。

もし、始められそう、と思ったらこちらの(基礎編2)で具体的な始め方もご覧の上、実践してみましょう。

 

(2022年12月1日アップ予定)

 

最後に、始める上での注意点があります。

それは、日々の値動きを見ないことです。

 

損失を恐れる方ほど、短期的な値動きに一喜一憂してしまいがちですが、つみたてNISAは長期用の投資制度ですので、1日や1週間の値動きは、ほぼ意味がないものと考えた方が健全です。

 

それでも、値動きがどうしても気になって仕方がない、不安で眠れないほどだという方(実際にこのような方もいらっしゃいます)は、投資を一時中断するのもよいと思います。

 

いくら始める方がよいとは言え、耐えられないリスクに無理して耐える必要は全くありません。 少なく、のんびり、焦らず始めてみるのが一番です。

 

(筆者について)

神奈川県横浜市で「人生の転機における財産やお金の問題」の解決支援を行うZ Financial & Associatesを運営しています。

教育資金を無税で贈与できる「贈与税の非課税特例」。来年は廃止、それとも存続?

もし、お子さんがいらっしゃる方は、

 

結婚するなら、結婚式の資金は出してあげたい。

住宅を買うのなら、その一部だけでも出してあげたい。

結婚したら、結婚式代は負担してあげたい。

 

もし、お孫さんがいらっしゃる方は、

 

子ども夫婦の負担も考えて、孫の教育費を出してあげたい。

 

そのような想いを叶える制度が、来年3月31日で廃止されるかもと言われています。

その制度、「贈与税の非課税特例措置」の動向をまとめました。

 

 

贈与税の非課税特例措置とは?

 

贈与税の非課税特例措置」とは、読んで字のごとく、特例により贈与税がかからなくなる仕組みです。

 

通常、私たちが第三者に現預金や不動産などを年間で一人当たり110万円以上贈与すると、もらった人に10%から55%の贈与税がかかります。 

 

たとえば、親から子へ500万円を贈与すると、子は63万円贈与税を納税しなければなりません。

 

(500万円ー110万円) × 20%(贈与税率)- 25万円 = 63万円 

 

しかし、贈与税の非課税特例措置を使えば、贈与税を減らしたり、ゼロにして贈与することができるのです。

 

贈与税の非課税特例措置で、多額の贈与を一括でできる。

贈与税非課税の「特例措置」には、以下の3つがあります。

 

1.教育資⾦の⼀括贈与に係る贈与税の⾮課税措置

2.結婚・⼦育て資⾦の⼀括贈与に係る贈与税の⾮課税措置

3.住宅取得等資⾦に係る贈与税の⾮課税措置

 

この3つはその名の通り、

・「祖父母や親等」が「子や孫」へ、

・「教育」、「結婚・子育て」、「住宅取得」の目的で贈与した資金につき、

・ 限度額以内であれば、

贈与税を課さない制度です。

 

これらの制度の大きな特徴の一つはまとまった金額を一括で贈与できることです。 

 

下の表をご覧頂くと分かる通り、きちんと目的を決めて贈与すれば、大きな額を無税で贈与できるのです。

出典: 国税庁HPを元に筆者作成

贈与税の非課税特例措置で、「将来使う」費用を一括贈与できる。

この特例措置のもう一つの大きな特徴は、「将来使う分をまとめて」贈与できる点です。 

 

実は、教育費は「必要な都度、直接支払った」場合、贈与税がかかりません。

例えば、お孫さんが大学に入学する際の入学金を贈与する場合、入学時に大学へ直接払えば、非課税です。

 

    No.4405 贈与税がかからない場合

(前略)

夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの。

ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、治療費、養育費その他子育てに関する費用などを含みます。また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。

なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。

出典: 国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」

 

一方、非課税特例措置では「将来使う分をまとめて」贈与することができるので、「必要な都度」に贈与する必要はありません。

 

単に贈与するだけでは、非課税にできない。

なお、この非課税特例措置には、いくつか注意点があります。

まず、結婚資金と結婚・子育ての特例制度については金融機関と信託契約を結ぶ必要があることです。

 

具体的には、まず信託銀行で金銭信託の口座を開設します。

この口座の目的は、贈与した財産を教育費などの目的だけに使われるよう管理することです。 したがって、口座の名義人(贈与を受けた人)が自由に出し入れすることはできません。 

 

実際にこの口座から出金するには、定められた手続きが必要になります。

 

具体的には、まず領収書等を準備します。

その領収書を元に、支払先や金額などを所定の用紙に記載し、信託銀行の処理センターへ送付します。

そこで認められた金額だけが、金銭信託口座から出し入れ自由の普通預金口座に振り替えられます。

 

贈与された資金を使うにも、こうした(面倒な)手続きが必要になるため、節税になるとは言え、敬遠する方が多いのも事実です。

 

これは私の感覚ですが、今では信託銀行のアプリが登場し、領収書を撮影して送信できるようになったので、だいぶ楽になっています。

 

利用の主な要件は?

 

以下の資料は、財務省HPからの抜粋ですが、利用する場合の主な要件がコンパクトにまとめられているので、参考として転載しておきます。

 

出典: 財務省HP

出典: 財務省HP

出典: 財務省HP

贈与税非課税特例措置は2023年3月末で廃止?

 

この非課税特例措置ですが、2023年3月末で廃止されるのではないか、という憶測が出ています。

 

この元になっているのが、財務省が主導する政府の専門家会合である政府税制調査会です。

 

報道によると、11月に公表した検討内容で、「廃止する方向で検討することが適当」、という意見が出ています。

 

その根拠となっているのが「所得格差」です。

 

特例措置を利用している人の多くが、資産を多く持ついわゆる「富裕層」であることから、この制度が世代を超えて格差を固定している、と批判が出ているのです。

 

 【経済社会の構造変化を踏まえた令和時代の税制のあり⽅(抄) 令和元年9⽉26⽇政府税制調査会

(前略)

他⽅、資産の早期移転による消費拡⼤を通じた経済の活性化を図るための時限措置として、各種の贈与税⾮課税措置が設けられているが、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっており、格差の固定化につながりかねない側⾯がある。

機会の平等の確保の観点などを踏まえ、資産移転の時期の選択に中⽴的な税制を構築していくことと併せて、これら各種の⾮課税措置のあり⽅についても検討していく必要がある。

出典: 財務省HP

 

実は、このような批判は今に始まったものではありません。

ここ数年の税制改正では、常にこの「格差の固定化」を早期に解消すべきという意見が出ていました。

 

しかし、だからと言って廃止が決まった訳ではありません。

例えば文部科学省は廃止に反対しており、2023年4月以降の存続を求めています。

その理由は報道によれば「少子化対策につながる」との事ですが、財務省の主張にどこまで対抗できているのか、気になるところです。

 

廃止か存続か、来年1月頃判明。

 

この特例措置を廃止するのか、それとも存続するのか。

その結論は、来年1月にも令和5年度税制改正の中で公表されます。

 

どちらに転ぶかは現時点では分かりませんが、もし制度の利用を検討している方は、その可能性がある、ということを念頭に入れておいてください。

 

(筆者について)

神奈川県横浜市で「人生の転機における財産やお金の問題」の解決支援を行うZ Financial & Associatesを運営しています。

人生の可能性を狭める「アンコンシャス・バイアス」。 どうやって乗り越える?



「男性は仕事をして家計を支えるべきだ。」

 

もしこう問われたら、あなたは同意しますか?

 

「いいや、そんなことはない。30年前ならともかく、男女平等が進んだ現代なら、そうとは言えないはず!」

 

私もそう思います。

頭では。

 

しかし、深層心理ではそうではありません。

 

そのことに気付いたのは、人生の大きな転機を経験した時です。

その価値観のために、大変苦しみました。

 

このような性別に関する偏った価値観は、時に人生に大きなマイナスとなります。

それをどうやって乗り越えればいいのか。 

 

自身の経験を元に、そのヒントをご紹介します。

 

 

なぜ私が、男性は仕事をして家計を支えるべきだと思うようになったか。

 

私が20代を過ごした1990年代。

バブルが崩壊したとは言え、金利は今より高く、給料も伸びていました。

 

根拠のない自信を蓄え、私は本気でこんな考えを持っていました。

 

「僕の妻になる人は、大船に乗ったつもりで、何も苦労しなくていいぞ。」

 

でもそれは、私だけの勝手な思い込みではありません。

周りもそうでした。

 

男の先輩と飲めば、今度のボーナスはまた伸びた、〇百万超えだ、など、景気のいい話も多かった時代です。

 

一方、採用では男性が総合職、女性が一般職と、男女差が存在し、女性は寿退社でどんどん辞めていきました。

 

(加えて、職場結婚すると夫婦が同じ職場にはいられない、というルールも存在し、異動させられるのは女性でした。)

 

そんな環境で20代を過ごした私。

思い込みが深層心理に染みついてしまうのは、当然だったように思います。

 

時代は変われど、深層心理は容易に変わらない。

 

しかし、時代は少しづつ変わります。

1999年には、社会における男女平等を推進する「男女共同参画社会基本法」が施行。

 

総合職と一般職のような男女での採用枠などはほとんどの企業で廃止され、「夫が働き、妻が専業主婦」という家庭は右肩下がりに減っていきます。

 

出典:内閣府男女共同参画白書(概要版) 平成30年版」https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h30/gaiyou/html/honpen/b1_s03.html

 

しかし、幸か不幸か、私は転職後も給料が伸びていたため、「男性は家計を支えるべきだ」の価値観に気付くこともなく、変える必要もありませんでした。

 

人生の転機に初めて顕在化する「価値観」の罠

 

人は痛い目に遭わなければ、自分の深層心理にあるものを見詰めようとはしません。

それに気づいたのは、私が会社を辞めたときでした。

 

私が会社を辞めることで、当然収入も減ります。

同時に、それは「男が家計を支える」から一時的に離れることを意味しました。

 

ここで、染みついた「価値観」が一気に苦しみに変わります。

 

寛大な妻は私を責めることはありませんでしたが、私は自分が許せません。

その理由がはっきり分からないまま、苦しく、いつもイライラしたり落ち込む毎日が続きました。

 

自分の中に染みついた「男が家計を支える」価値観が苦しみの根源だった。

そのことに気付くまで、それから数年の歳月を要しました。

 

無意識の思い込み=アンコンシャス・バイアス

私が捉われていた「男性は仕事をして家計を支えるべきだ。」のような無意識の思い込みは、近年「アンコンシャス・バイアス」と呼ばれています。

 

内閣府が今月、20~60代の1万906人に行った「アンコンシャス・バイアスに関する意識調査」の結果を公表しました。

 

すると、男女ともに最も多く「そう思う」、「どちらかと言えばそう思う」と回答した質問は、「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」だったそうです。

 

令和4年度 内閣府「性別による無意識の思い込み (アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」より抜粋

 

この思い込みは、男性・女性共に年代が上がるほど強くなる傾向があり、60代になると男性では約6割女性でも5割強が、「男は仕事をして家計を支えるべき」と考えており、この思い込みは40代以上で根づいていることが伺えます。

 

内閣府「令和4年度 性別による無意識の思い込み (アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」より抜粋

 

アンコンシャス・バイアスは誰にでもある。ただし自覚が必要。

 

前述の調査結果から分かる通り、アンコンシャス・バイアスは(自己弁護になってしまいますが…)誰にでもあるものです。

 

また、それがあること自体、悪いことではないと思います。

 

ただし、アンコンシャス・バイアスがあることに、常に自覚的であるべきです。

 

なぜなら、それに気づかないでいると(私が会社を辞めた時のように)新たな一歩を踏み出すときに大きな苦しみとなったり、壁になってしまうからです。

 

「定年まで会社に勤めあげる」キャリアプランは、とうに崩れたと言われて久しいですが、それに代わるのは、(2016年のベストセラー「LIFE SHIFT / 100年時代の人生戦略」でも述べられている通り)何度もやり直したり、新たなことに挑戦する人生です。

 

そんな時代を生き抜くためにも、アンコンシャス・バイアスにできるだけ捉われない知恵が必要です。

 

アンコンシャス・バイアスへの3つの対処法。

 

では、アンコンシャス・バイアスにどう対処すればよいのか。

以下は、内閣府共同参画局が作成したパンフレットからの抜粋ですが、参考になるので、抜粋します。

 

対処法1: 決めつけない、押し付けない。

「普通そうだ」、「たいていこうだ」、「そんなはずはない」、「どうせムリ」、「こうであるべき」など、決めつけ、押し付け言葉には要注意です。

 

たとえば、この仕事は男でなければ無理だ、というような考えが頭に浮かんだら、それはアンコンシャス・バイアスではないか、と疑ってみてください。

 

対処法2: 相手の表情や態度の変化など「サイン」に注目する 

自分の言動によって、相手の表情が曇ったり、一瞬声のトーンが変わるようなことがあったら、それは自分のアンコンシャス・バイアスのせいかも知れません。

 

その場合、素通りせず、相手へのフォローをしてみてください。

 

対処法3: 自己認知

アンコンシャス・バイアスは、脳が自分にとって都合のよい解釈をすることで起きています。

 

そこで、自分がそんな「思考のクセ」に陥っていないかを確かめるために、1~2週間ほど、アンコンシャス・バイアスに気付いた際メモを取るのがよいでしょう。

 

見開きノートを使った、アンコンシャス・バイアスへの対処法

 

対処法3については、私も似たようなメモを取っていたことがあります。

 

その方法は、見開きノートを使います。

まず左側に、今日起こった嫌な出来事(例えば、会議中に相手が自分の意見に反論してきた)、右側に、それに対して自分は最初どう思ったか(例えば、ムッとした、そんなことはその場で言うものではない)を書きます。

 

その上で、その両方を第三者になったつもりで、もう一度眺めてみます。

 

すると、自分が陥っていた「アンコンシャス・バイアス」に気付くことがあります。

(例えば、会議の場で知らず知らずの内に、自分と同じ意見だけを求めていた)

 

この方法は、自己認知療法と呼ばれる心理療法を参考にしたものです。

 

もし、少しでも「アンコンシャス・バイアス」に苦しんでいる、と自覚した時、試してみてください。

 

(筆者について)

神奈川県横浜市で「人生の転機における財産やお金の問題」の解決支援を行うZ Financial & Associatesを運営しています。

そんなに給付金出して、日本は大丈夫なのか? コロナ時の予算から考える。

 

あるお客様との会話で、国から支給されるコロナ関連の給付金や支援金の話になりました。

 

その方は、わずかな年金暮らしでささやかな生活を送っていますが、現役時代に築いた資産があり、不安の少ない日々を送っています。

 

ふと私の顔を見て、こうおっしゃいました。

 

「私みたいに困っていない家庭にまで給付金配って、日本は大丈夫かね?

 

答えに詰まりました。

日本の予算を見れば、とても大丈夫とは言えないからです。

 

どれだけすごいか、見てみましょう。

 

 

「102兆円」に達した2020年度本予算

すごさを実感するために、コロナ禍が始まった2020年の予算を振り返ってみます。

 

日本で初めてコロナ患者が見つかってから約3か月後の2020年3月。

国会で令和2年度本予算が政府案通りに成立しました。

 

歳出額(国の支出合計)は102兆6,580億円。

前年と同じく100兆円の大台突破、過去最高額です。

 

この時予算が組まれた目玉政策には、2020年4月から始まった「高等教育無償化」(+4,882億円)や「幼児教育の無償化」(+1,878億円)、2019年10月の消費税増税対策として「キャッシュレス・ポイント還元事業」(+2,703億円)などがありました。

 

しかし、2020年度の予算はこれだけでは終わりません。

ここから「コロナ関連費」の怒涛の上積みが始まります。

 

本予算成立からわずか1か月で、25%の予算上積み。

コロナ対策はまったなし。

そこで政府は、本予算が成立して早々、異例のスピードで「第一次補正予算」を国会で成立させます。

 

その補正予算額は25兆6,914億円。

当初予算の25%が、わずか本予算成立から1か月で上積みとなる、異例の早さでした。

 

この時予算に組まれたのが、支給方法で揉めに揉めた、国民一人当たり10万円の「特別定額給付金」(+128,803億円)です。 

また、後に菅元首相への批判が殺到した「Go Toキャンペーン事業」(+16,790億円)なども含まれていました。

 

計3回の補正予算で、予算は当初から7割増。

 

コロナの蔓延と緊急事態宣言の中、さらに予算は上積みされます。

この年の補正予算は、第2次(6月)、第3次(翌年1月)と続きました。

 

その結果、最終的な本予算は175兆6,877億円。

当初予算から71%もの大幅な増加です。

 

ここまで増加した予算は、過去例がありません。

 

例えば、戦費が莫大にかさんだ太平洋戦争時(昭和16年~昭和20年)でさえ、当初予算からの増加率は49%です。(昭和17年

 

補正予算」は何でもあり?

ここで疑問が生じます。

コロナ禍とはいえ、一度決めた本予算にここまで莫大な補正予算を積み上げてよいものなのでしょうか。 

 

そのヒントは「補正予算の定義」に隠れています。

 

まず、補正予算の根拠法である「財政法」の定義を見てみましょう。

 

【財政法第二十九条】

内閣は、次に掲げる場合に限り、予算作成の手続に準じ、補正予算を作成し、これを国会に提出することができる。
一 法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合
(以下略)

 

つまり、補正予算とは、「特に緊要になった経費の支出」があったら本予算に追加するもの、と規定しています。

 

しかし、予算編成の主管庁である財務省の定義は違います。

 

 

予算作成後の事情の変更によって、その予算に不足を生じた場合、また予算の内容を変える必要が生じた場合に、出来上がった予算を変更する予算。

財務省HPより引用】

 

こちらでは、補正予算とは「予算が足りなくなったり、変える必要があるとき」追加する予算、と定義しています。

 

「予算が足りなくなったり、変える必要があるとき」であれば、政治家や官僚によってどうにでも解釈が可能です。

「足りないんだから入れろ!」と言えば予算が追加できてしまう怖さを感じます。

 

コロナ禍で一気に莫大となった「予備費

 

実際、補正予算には「足りなくなったから入れた」と思われても仕方ない費用も含まれています。

それが「予備費」です。

 

予備費とは、日本国憲法に規定された、緊急時に使うことができる経費です。

性質は補正予算と似ていますが、大きな違いは「国会の承認なしに内閣が使うことができる」点です。

 

この予備費補正予算に追加された額は莫大です。

 

2020年度は、コロナ対策予備費として計11兆5000億円。

今年(2022年度)は、コロナ・エネルギー対策予備費として計6兆2600億円。

 

コロナ以前は1兆円かそれ以下だったことを考えると、異常な額です。

国会を通らない莫大な金額が内閣の一存で使えてしまうために、実際に何に使われたかの検証は困難です。

 

それでも日本は大丈夫なのか。

 

莫大な補正予算と、そこに含まれる予備費

これだけでも、日本は本当に大丈夫か?、と思わせる威力があります。

 

そして、これらの財源はほぼ全て国債という名の借金。

その国債は日銀が購入してくれるので、国債の発行も容易です。

 

しかし、それが一体いつまで続くのでしょうか。

亡くなった元首相が発言したように、日銀は政府の言いなりでずっといられるのでしょうか。

 

予算は知れば知るほど、怖くなります。

やはり冒頭のお客様には、日本は大丈夫とは、とても言えません。

 

(筆者について)

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年末調整の書類、忘れて放置してしまったらどうすればよい? 

 

毎年この時期(11月)から始まる年末調整。

 

会社にお勤めの方は、「〇〇月〇〇日までに人事部へ提出」などと書かれた年末調整書類(またはオンラインの通知)を既に受け取っていると思います。

 

しかし、この時期は年末に向けて業務が多忙な時期。

机の中にしまい込んだり、カバンの中に入れっぱなしにしたり、記憶から抜け落ちていないでしょうか。

 

もし、このまま年末調整を忘れてしまったらどうなるか。

以下、分かりやすくまとめました。

 

締め切りに遅れた書類を、人事部は受け取ってくれないことも。

 

年末調整書類のことなどすっかり忘れ、気が付けば12月半ばの締め切りもとうに過ぎて正月明け。

 

はっと気づいて、慌てて給与計算の担当部に連絡します。

しかし、時すでに遅し。

 

運がよければ年末調整の書類を受け取ってもらえますが、大抵はこう言われます。

 

「自分で確定申告して下さい。」

 

会社は、従業員から回収した年末調整書類を、翌年1月31日までに税務署へ提出しなければなりません。 

 

そのため、12月中の年末調整担当者は処理に大わらわです。

(別室で籠り切りになることも)

 

締め切りに遅れた一書類のフォローなどとてもできない、というのが担当者の本音です。

 

年末調整とは?

 

ここで、「毎年書類を書いてはいるけど、そもそも年末調整がなぜ必要なのか分からない。」という方のために、少しおさらいします。

 

年末調整とは、「これまで給与や賞与から差し引かれた所得税と、「本来あるべき所得税との差額を調整する手続きです。

 

もし、「あるべき」所得税より「これまで差し引かれた」所得税の方が少なければ、所得税は追加で徴収されますが、逆に多ければ、差額は還付されます。

 

 

なぜ「あるべき」と「これまで差し引かれた」所得税に差が出るのか?

 

差が生じる理由は、次の通りいくつもあります。

 

【追加で徴収の場合】

・年の途中で子が就職するなど、扶養親族が減った。

・年の途中で配偶者が働きに出るなど、控除対象配偶者が減った。

・賞与(ボーナス)に成果分が大きく上乗せされるなど、多額だった。

 

【還付の場合】

・年の途中で子どもが生まれるなど、扶養親族が増えた。

・年の途中で配偶者が専業主婦となり、控除対象配偶者が増えた。

・年の途中で本人(または家族)が障害者、寡婦寡夫、勤労学生になった。

iDeCoや小規模企業共済など、独自の年金や退職金制度にお金を拠出した。

・賞与(ボーナス)が通常より大きく減った。

・住宅ローンを組んだので、住宅ローン控除が使える(2年目以降)。

・生命保険料を支払った。

 

 

この中でも、特に働く方にとって気になるのは、「還付」です。

 

リストを見ればお分かりの通り、扶養控除、住宅ローン控除、生命保険料控除など、さまざまな「控除」を使うことで、「これまで差し引かれた」所得税を取り戻すことができます。

 

だからこそ、年末調整書類を期限までに提出しておくことが大切になります。

 

年末調整をしないと罰せられる?

 

年末調整は、会社側の義務です。

従って、会社側が故意に年末調整せず、適切に源泉徴収を行わなかった場合は、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が課されます(所得税法242条)。

 

一方、従業員が年末調整書類を提出しなかったからと言って、罰せられる訳ではありません。 

 

ただし、社内で迷惑がかかるので、やはり書類は期限までに出しておいた方がよいでしょう。

 

年末調整書類を出せなかったら、確定申告で。

 

ずっと年末調整書類を出さなかったり、遅れて人事部に出したものの断られた場合は、面倒ですが自分で確定申告することになります。

 

そのために、会社から配布される源泉徴収票を元に、扶養控除など各種控除を入れて、「あるべき」所得税と「これまで差し引かれた」所得税の差を自分で計算します。

 

この結果、もし「追加で徴収」となった場合は、2月15日から3月15日までの確定申告期間に申告書を提出の上、不足の所得税を支払います。

 

一方、「還付」となった場合は、確定申告期間に関係なく、その年の1月1日から5年間で申告書を提出すれば、還付を受けることができます。

 

確定申告をしても、家族の異動は会社へ別途報告を!

最後に注意点です。

 

年末調整書類を出しそびれてヒヤヒヤしたものの、何とか確定申告で控除できた方も、ここで安心してはいけません。

 

申請した控除の元になる家族の異動、例えば子どもが生まれたり、引退した親が扶養に入った、などの情報は、必ず会社に報告(又はシステムに入力)することを忘れないで下さい。

 

これを忘れると、各種控除がない前提で、毎月給与から差し引かれる所得税が計算されてしまい、手取りが少なくなってしまいます。

 

これでまた年末に年末調整書類の提出を忘れると、さらに面倒になるので注意して下さい。

 

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