つみたてNISAを始めたくても始められない方へ(基礎編3): 銀行、証券どちらを選ぶ?
前回の記事では、以下のことをお伝えしました。
1.つみたてNISAの商品は、基本的に2種類だけ
2.2種類それぞれにどんな人が向いているか
前回の記事はこちら↓
今回より、いよいよ具体的に購入する方法に入ります。
まずは、「どの金融機関でつみたてNISA口座を開くべきか」についてご紹介します。
つみたてNISAを扱う金融機関はいろいろある。
つみたてNISAを扱う金融機関は、下の図のように、いろんな種類があります。
では、どこで口座を開くべきなのでしょうか?
ここでは、つみたてNISAを扱う金融機関を5つの種類に分けて、メリットとデメリット、そしてどんな方が向いているのかを考えてみます。
銀行・信用金庫(店舗あり)のメリットは、身近さと絞られた商品数。
店舗のある銀行や信用金庫等でつみたてNISA口座を開くメリットは、その身近さにあります。
たいていの街には銀行や信用金庫の本店、支店があるので、「つみたてNISA」の話を聞きたい、と思えば、ATMで入出金したり、窓口で振込したりするついでに、資産運用窓口で話を聞くことができるでしょう。
この手軽さが、自分で基礎知識を学び、商品を探すネット専用銀行や証券と大きく違う点です。
さらに、つみたてNISAの商品数が選びやすいように絞られている点もメリットです。
「何を選べばよいのか?」迷ってしまう方にとっては、選択肢が多すぎるのは苦痛です。 そんな方には、あらかじめ銀行や信用金庫が、利用する顧客層に合わせて選別した商品の中から選ぶ方が、選びやすいはずです。
なお、2022年11月末現在でつみたてNISAの全商品数は216ありますが、銀行や信用金庫等でこれらが全て売られていることはなく、商品数は少ないところで5未満、多いところでも30程度です。※
※筆者の調べた範囲であり、全ての金融機関に当てはまる訳ではありません。
ネット銀行のメリットは、ネット決済に慣れた方が手軽に始められる点
すでにネット銀行に口座を持っていたり、普段からQRコード決済を使っている方は、すでにネット上の操作に慣れているはずですので、ネット上で口座開設できる手軽さがメリットです。
たとえばアプリ上で申込フォームを作成し、そのまま身分証明書をカメラで撮影して送信して口座開設手続きを完了させることが可能です。
また、ネット銀行によっては、他社にない特色を出しているところもあります。
たとえばPaypay銀行は、取り扱いファンド数が80本近くあり(2022年5月現在)、「銀行最多」を誇っています。
ただし、ネット銀行自体の数は限られる上、つみたてNISAや投資信託自体を取り扱っていない所(例、ソニー銀行)もあり、口座開設先としてはまだ一般的とは言えない状況です。
証券会社(店舗あり)のメリットは、つみたてNISA以外の商品の豊富さ
もしつみたてNISAだけしか運用や投資をしない、という方にとっては、店舗のある証券会社で口座を開くメリットはあまりないかも知れません。
というのも、たいていの方は銀行・信用金庫ほど証券会社は身近ではない上、商品数も一部を除き、銀行・信用金庫ほど変わりません。
それなら、近所の銀行や信用金庫で口座を開いた方がいい、と思うかも知れません。
しかし、店舗のある証券会社で開くメリットは、つみたてNISA以外の商品の豊富さです。
特に大手の証券会社では、銀行では扱えないさまざまな投資商品が揃っています。
株式、投資信託、債券などが、円建て、外貨建てで購入できる上、新規上場株や新発の債券などの情報をいち早く仕入れることができます。
つまり、つみたてNISAを始めたけれど、もっと投資残高を増やしたい、いろんな商品を検討したい、そして、担当者と相談しながら売買したい場合は、店舗ありの証券会社での口座開設がおすすめです。
ネット証券のメリットは、つみたてNISA商品ラインアップの豊富さ
ネット証券ではつみたてNISAの商品数が豊富です。
たとえばSBI証券は185本、楽天証券は183本(いずれも2022年12月6日現在)と、つみたてNISA全商品数の8割以上を、これらの証券会社で買うことができます。
商品数を絞り込んでいる銀行や店舗あり証券会社と対照的ですが、ネット証券は「自分で豊富な商品から選びたい」方に向いていると言えるでしょう。
従って、自分で選ぶのが苦痛な方には向いていませんが、最近はウェブサイト上でも自分に合ったファンドを選びやすくなったり、ロボアドバイザーを利用できるなど、店舗ありの証券会社との差は狭まってきていると言えるでしょう。
これから少しでもネットに慣れよう、という方は試してみてはいかがでしょうか。
その他(ゆうちょ銀行、JAバンク)は、「安心」がメリット
つみたてNISAは、日本全国で身近な金融機関、ゆうちょ銀行やJAバンクでも口座を開くことができます。
この2行の特徴は、とにかく「身近で安心な点」に尽きます。
まず、商品数はゆうちょが12、JAが4と、前述の銀行や信用金庫と変わりません。
また、商品ラインアップにも、この2行の特徴が表れています。
ゆうちょ銀行も、JAバンクも身近で安心をモットーとする金融機関。
そのためか、値動きが比較的激しいアクティブファンドの本数は、ゆうちょがゼロ、JAバンクは1のみです。
「リスクを取って大きく増やしたいとは思わない。 安心安全でよい。」
そんな方にとっては、この2行で口座を開設するのもよいでしょう。
しかし、それ以上のものを求める場合は、おすすめできません。
金融機関別、向いているのはこんな方
最後に、これまで紹介した金融機関で、どんな方が向いているのかをまとめました。
金融機関選びの参考にして下さい。
次回は、つみたてNISAのコストや、ファンド選びのポイントを解説します。