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FP(兼USCPA)がレモンをレモネードにする(逆境を転機に変える)ヒントを書き連ねます。 毎週月・木曜日に更新。

KDDIの大規模障害、一人あたり200円の返金は妥当?


7月初めに起こったKDDIau)による大規模障害障害。

その対応策や返金額に関する会社説明会が7月29日(金)に行われ、私も視聴しました。

(現在、KDDIのホームページから当日の模様がYoutubeアーカイブ視聴できます。)

このKDDIの発表について、その概要に加え、筆者の解説を交えてお伝えします。

 

 

お詫び返金は、妥当な額。

会見の概要(抜粋)

事故発生直後にKDDIの高橋社長は、「顧客に対して何らかの補償を行う」と発表していましたが、その具体的な内容が公表され以下の通りとなりました。

 

A  契約約款にもとづく返金(対象者271万人):

【返金額】 基本料金の2日分。(返金額は平均100円程度。)

【計算根拠】52円(契約者の基本料金平均額)×2日 ≒ 100円

 

B お詫び返金(対象3,589万人):

【返金額】一律200円

【根拠】 1の基本料金平均額(52円/日)をもとに、以下の通り計算:

  1.  200円のうち156円は、52円X3日で算出。(「3日」は、復旧までにかかった62時間を3日間でカウント)
  2.  200円のうち残りの44円は、「お詫びの気持ちを込めて」追加。

 

解説

1.については、ユーザーがauと契約する際に合意する「au通信サービス契約約款」に記載がある内容にそのまま基づくものです。 妥当というよりも、契約書の決まりに沿って、当然支払われるべきものです。

 

au(LTE)通信サービス契約約款 P44より抜粋)

 

2.は、契約にない補償です。 KDDIが自主的に行うもので、かつ「通信障害で直接の被害を受けたかどうか」に関わらず返金する、というものです。

 

「いくら返金するか」の決まりがないので、社長以下かなり悩んだそうですが、1の契約上の補償額をもとに、「お詫びの気持ちと、きりの良い数字にするために」+αしたものです。 実際にユーザーがどれだけの被害を被ったかを数値化するのは不可能ですから、これも妥当な線ではないでしょうか。

 

なお、この発表に対してSNSなどでは、「たったこれだけ?」という声以上に「妥当な額だ。」という声が見受けられます。 上記の返金額の算出根拠が明らかになったことで、自然な流れと思えます。

 

お詫び返金や、事故の対策費用が今後の料金に上乗せされることはない。

会見の概要(抜粋)

  • 総返金額は73億円
  • 返金により業績の下方修正はしない。(経営努力でカバー)
  • 料金改定はなし

 

事故原因はヒューマンエラー(人為的ミス)

会見の概要(抜粋)

  • 多摩に昨年新設した全国中継網ルーターのメンテナンス時に、本来使うべきではない「古い手順書」が使われてしまった。
  • その結果、ルーターの経路誤設定が発生し、数分の間に通常の7倍のトラフィックが発生(輻輳状態)。他拠点にも影響が波及し、全国的な障害へつながった。
  • 異常状態となったVoLTE交換機を切り離すことでようやく輻輳状態が解消。

 

解説

事故原因は完全にヒューマンエラーです。 しかし、人の手が入る工程では、どんなに対策を行ってもエラーを完全になくすことはできません。 

そこで、対策としては、「ヒューマンエラーが起こった場合、その影響を最小限にとどめるための技術」を考える必要がありますが、この点でも不十分だった、といえるのが今回の事故です。

 

auユーザーは他社へ乗り換えるべきか。

会見の概要(抜粋)

「今回起きた大規模な障害によって、お客様の一部が乗り換えすることも仕方ないと思っている。」

 

解説

今回の大規模障害では、110や119など緊急用の通信にも影響したことを考えると、「いざという時につながらない」という不安が増した方は多いと思います。

 

IT Mediaの調査によれば、通信キャリアを選ぶ理由の第1位は、「電波の通信、品質、安定性」となっており、今回の件でこの点に不安を感じた方は、auからの乗り換えもやむを得ないかと思います。

 

ただし、今回の原因となった「ヒューマンエラー」は、どの携帯会社でも今後100%起こらないとは言えないものです。 乗り換えたからと言って、通信が絶対安全、とはならないことも、肝に銘じておくべきでしょう。