レモン一つでレモネードとレモンパイとレモンケーキを作る!

FP(兼USCPA)がレモンをレモネードにする(逆境を転機に変える)ヒントを書き連ねます。 毎週月・木曜日に更新。

インフレに負けず、夫婦で楽しく節約するには?【前編】

 

夫と妻の「金銭感覚」。

それは時に夫婦のきずなを強めるときもあれば、壊すこともあります。

 

しかし、金銭感覚がピッタリと一致する夫婦はむしろレア。

ほとんどの夫婦は金銭意識の違いを認めつつ、時にケンカしたり、目をつぶったりして、バランスを取っているのが現状ではないでしょうか。

 

しかし、最近そのバランスを崩しかねない事態が起きています。

モノの価格の高騰。

つまりインフレです。

 

そこで今回は、インフレに負けず夫婦で協力して節約を実現するための方法を、前・後編に分けてご紹介します。

 

夫婦の金銭感覚バランスが揺らぐ①:Mさん夫婦のケース

(以下、個人が特定されないよう配慮しています。)

 

インフレ下で、なぜ夫婦の金銭感覚のバランスが崩れるのでしょうか?

最初の例を見てみましょう。 夫が浪費家で、妻が倹約家という対照的なMさん夫婦です。

 

以前からゲームPCやソフトに多額のお金を使う夫のMさんに対し、妻は自分の欲しい物を我慢するなどして、家計を何とかやりくりしてきました。

 

しかし、そこに訪れたインフレ。

出費もこれまで通りとはいかず、夫のMさんにも節約に協力してもらわなければなりません。

 

そこでPCゲームの時間を減らして電気代を減らすよう、勇気を出して妻は夫に協力を求めたところ、こう反論されました。

 

「そんなことしても焼石に水だろ! それよりお前のショッピングの無駄遣いを直してくれよ!」

 

無駄遣いどころか、これまで無駄な電気を使わないよう散々気を付けてきた妻は、一切の努力が否定されたように感じて大きく傷つきました。

 

夫婦の金銭感覚バランスが揺らぐ②:Iさん夫婦のケース

次のケースを見てみましょう。

 

Iさん夫婦は無駄遣いはあまりしないものの、夫は家計に関心がなく、妻(Iさん)に任せきり。

 

しかし最近、夫はテレビで電気やガス代が上がっていることを知り、珍しく「もっと光熱費を節約しよう。」と言い出しました。

 

その発言に妻のIさんは「カチン!」ときて、こう反論しました。

 

「もう十分頑張ってるわよ! あなたが気付いていないだけでしょ! それに、電気代をこれ以上節約して子どもが熱中症にかかったらどうするの!!」

 

「責任を押し付けるつもりではなかったのに…」

夫は普段の自分の無関心を悔いつつ、予想外の激しい反論に大いに傷つきました。

 

無用な誤解を避けるための「原因の分解」

起きた結果(電気代の高騰)の要因を分解する。

インフレ時に夫婦の家計を守るには、夫婦の協力が欠かせません。

 

では、不要な誤解を避け、価値観の違いを乗り越えて「節約」という共同作業に夫婦が向かうには、一体どうすればいいのでしょうか?

 

それには、起きた結果の要因を分解することが有効です。

何やら複雑そうですが、つまりこういうことです。

要因を、夫婦で「対処できること」と「対処できないこと」に分けるのです。

 

それが上手くできれば、「対処できないこと」に相手の責任を責めたり、無駄な時間を注いだりすることを避け、夫婦の時間とエネルギーを「対処できること」に集中することができます。

 

電気代が上がった原因を分解してみる: 我が家のケース

具体例として、我が家の電気代を「分解」してみます。 

 

我が家はあまり電気を使う方ではありませんが、それでもインフレの影響は避けられません。 8月の電気代は昨年8月と比べて約1,000円(約9%)上昇しました。

 

今年の8月: 11,210円

昨年の8月: 10,237円

差:     +  973円(アップ)

 

この数字をそのまま鵜呑みにすれば、

 

「昨年より電気代が上がっている! だから節約しなければならない!!」

という単純な結論に陥ってしまい、私たち夫婦の間で角が立ってしまいます。

 

そこで、昨年との差(973円)を以下の(A)、(B)に分解してみます。

 

(A)  電気代の「単価」が上がった(または下がった)影響。

(B)  電気の「使用量」が上がった(または下がった)影響。 

 

この(A)と(B)は、こう言い換えることができます。

 

(A) は夫婦では「対処できないこと」(=単価は電力会社が決める)

(B) は夫婦で「対処できること」(=使用量は夫婦でコントロールできる)

 

以下が、973円の差を実際に分解してみた結果です。

 

(A) +2,720円

(B) ▲1,747円

合計     +  973円 → 昨年との差973円と一致

 

この結果から、このような事実を読み取ることができます。

 

1.「電気代は、【単価】要因で大きく上昇(+2,720円)したため、本来はもっと高くなっていたはず。」

 

2.「しかし【数量】要因は大きく減少(▲1,747円)している。 

 

3. まとめると、【単価】は上がったが【数量】を減らしてカバーした結果、昨年比の電気代は973円のアップで済んだ。」

 

つまり、すでに節約を十分頑張っていて、その成果は出ていました。

ただ、それが電気代全体の中に隠れてしまったのです。

 

この結果を受けて、私たち夫婦は、節約を頑張った成果をお互いほめたたえました。

要因を分解したお陰で、不要な水掛け論を避けることができたのです。

 

次回予告

次回(9月19日アップ予定)の【後編】では、

・結果を要因毎に分解する方法

・レポート化して、もっと節約を夫婦で楽しむ方法

をご紹介します。

 

こんなレポートを作ります↓

我が家の水道光熱費レポート

(筆者について)

神奈川県横浜市で「人生の転機における財産やお金の問題」の解決支援を行うZ Financial & Associatesを運営しています。

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