入院してみる9ー手術体験その1
あの時手に入れたものと、今手に入れたものは、同じレモンでも、味は当然違う。 だから、レモンは酸っぱいものだ、という思い込みは、一度忘れた方がいい。
今晩は。 Kiです。
今日のお題は、手術体験です。
個人的なお話なので、誰にでも当てはまるものではありません。 悪しからず。
人生で2回目の手術体験。
この2つを自分で比較してみました。
今日は、1回目のお話です。
1回目
時期:10年前
病名: 真珠腫性中耳炎
麻酔方法:呼気麻酔
入院期間:1週間
2回目
時期: 3日前
病名:虫垂炎
麻酔方法: 静脈麻酔
入院期間: 4日間
1回目の様子
お正月頃から、右耳に違和感を感じるようになり、だんだん、大きくなってきた。
そこで、当時働いていた会社があった赤坂のクリニックで診てもらうと、医師は、少し神妙な表情で、
「これはうちでは対処できない。 慶應病院に紹介状を書くから、それを持ってすぐに行きなさい」
と言われる。 その時点では病名は知らされていなかったので、その深刻さは、その時気付いてはいなかった。
そして、慶應病院の耳鼻科にかかると、すぐに精密検査に回され、レントゲンやMRIを撮る。
そして、検査結果を元に、医師からは、
「紹介状に書いてあった、真珠腫性中耳炎に間違いありません」
と告げられる。
聞いたことのない病名。
そこで、医師からはレントゲン写真を見せられる。 そこに写っていたのは、虫垂炎の患部が、自分の脳のすぐ近くまで達している写真だった。
「あと少し発見が遅れていたら、この患部が脳にまで達してしまい、頭蓋骨を侵してしまうところでした。」
どうやら、思っていたより深刻な病気だったらしい。
それでも、まだ他人事のように聞こえる。
耳に違和感があったのは確かだが、強烈な痛みがある訳でもなく、今にも脳に達しようとしている、と言われても、実感が湧かないからだ。
「すぐに入院してもらいます。 手術します。」
医師に告げられる。
「え? 手術? それ、部分麻酔ですか?」
「いや、全身麻酔でしっかり寝てもらいます。 ちょっとでも動かれると危険なので」
中耳炎の治療なのに全身麻酔?
耳の治療なら、そこだけ麻酔すればいいのではないか??
ここで初めて驚く。
そこで、手術の内容を改めて医師に聞くと、思っていたより、大変な手術らしい。
中耳からアリの巣の様に、患部が脳に向かって筋を描いている。
この患部を、右耳を切開して器具を差し込み、脳を傷つけない様に、慎重に患部に溜まった老廃物を除去していく。
この手術は、6時間ほどかかるという。
中耳炎なのに、そんなたいそうな病気だとは。
なお、真珠腫性虫垂炎がどの様な病気か。
Wikipediaを見ると、患部の写真が出てきます。
ご興味のある方だけ、どうぞ。
そして、手術。
この時の麻酔は、吸入麻酔でした。
「大きく息を吸ってー」
モニター横の麻酔科医に従って、息を2、3回スーハーした後の記憶は、もうありません。
目が覚めた時のは、病室のベッドでした。
後から聞いた話では、手術は予定より一時間多くかかり、7時間だったとの事。
麻酔後の予後は、かなり良好で、後に残ったのは、切開した右耳の痛みと、尿管の強烈な違和感でした。
因みに、尿管の違和感とは、「おしっこが溜まって、すごく出したいのに、それを自分の意思で出せない」苦しみでした。
本当に苦しくて、真夜中に看護師さんにお願いして、尿管を外してもらい、し瓶に変えてもらったほどです。
その晩は、し瓶を持ちながら、眠ることのできない一夜を過ごしました。
それ以来、尿管恐怖症となり、
今回の虫垂炎手術で最も恐れたのは、切開後の痛みでも、麻酔でもなく、尿管でした。
続く