してみない2ー毒キノコ・ヤマドリタケモドキ?
ちょっとした傷がレモンにある。 怖いから、捨ててしまった。 それは勿体ない。 もう少し注意深くその傷を調べれば、レモネードにしても何ら問題がないことが分かったはず。
こんばんは。 Kiです。
前回に引き続き、今日もキノコのお話です。
特になにか「した」訳ではなく、思うところを書き連ねたので、「してみない」のタイトルにしています。
キノコ愛好家としては、無視出来ないことがありました。 (キノコに興味のない方には、本当にどうでもいい話ですが…)
それは、定例の鎌倉天園コースをウォーキングの最中、
よく聴いているラジオ番組、Tokyo FMの長寿番組「JET STREAM」(月〜金 24:00-24:55、パーソナリティは大沢たかお)の9/7放送分をタイムフリーで聴いていた時の事。
「…夜のしじまの、何と饒舌な事でしょう」
ゆったりとして、耳心地のよい、大沢たかおのナレーションが、ジェット機の離陸音に優しく重なるオープニング。
そして流れる、耳障りのすこぶるよいジャズピアノ。
10分ほど流れた後、人混みの騒音をバックに、再び、大沢たかおのナレーション。
「世界3大キノコの一つ、ポルチーニ。 「子豚ちゃん」と可愛い名前がついたこのキノコ、その芳しい香りと、丸まると太っている割には、身がしまっていることから、イタリアでは「キノコの王様」とも呼ばれている。」
お、今日は大好きなポルチーニの話がJET STREAMで! 不覚にも、ポルチーニが、イタリア語で子豚の意味とは知らなかった!
「このポルチーニ、一キロで35ユーロ、およそ4600円とかなりの値段。値段が高いのは、いまだに人工的な栽培方法が確立していないためだという。」
ふむふむ。
「実はこのポルチーニ、日本ではヤマドリタケという名で自生している。 しかしながら、キノコにしては、まだ暑い時期にできることと、日本では食べる習慣がないことから、殆ど取られることはない。」
お、何と、日本のヤマドリタケの話になった!
「イタリア人が聞いたらさぞ残念がることだろうが、」
うん、その通り!
ここまでは良かった。
「これにそっくりなヤマドリ・タケモドキという、恐ろしい毒キノコがあるので、くれぐれも素人がとってはいけない。」
え?
これ、嘘でしょ。
ヤマドリタケモドキは、ヤマドリタケの近縁種。 両方、食べられるキノコだよ。
それを、爽やかな声で、「恐ろしい毒キノコ」と言い切ってしまうとは。
しかも、ヤマドリ・タケモドキって?
アクセントが違う!
正しくは、ヤマドリタケ・モドキでしょう。
勿論、罪があるのは大沢たかおではなく、その原稿を書いた放送作家かと推測します。
そもそも、大沢たかおは、現在、ミュージカル「王様と私」を、ロンドンで渡辺謙と共演中で多忙の身。
今回のJET STREAMの原稿の中身をチェックする余裕など全くないでしょう。
(なお、上記の大沢たかおのナレーションをお聴きになりたい方は、radikoのタイムフリーで、9/7放送分を開始11分20秒から聴いてみてください。 )
このヤマドリタケモドキ。
このブログの7/13ポスト、「食べてみる1ーニガイグチモドキ」でも紹介しましたが、
ニガイグチモドキと間違えたのが、ヤマドリタケモドキでした。
こうした、メディアによる間違いや、毒キノコに対する過剰報道に触れるたび、
キノコ=毒=危ない
の固定観念が広がってしまうことが、とても悲しい。
確かに、毒キノコは存在する。
そして、数は極めて少ないが、命に関わる毒キノコが、普通に生えていることがある。
「触らぬ神に祟りなし」の諺通り、
スーパーで売られていないキノコに手を出さない方が無難。
でも、これは本当にもったいない。
キノコも生態系の一部。
食べられる、食べられないは、人間側の論理であって、
生態系には、全く関係ない。
キノコは、特定の樹木と共生したり、倒木を分解して土壌に戻したり、はたまた、キノコを食べる虫の栄養なったり。
極めて重要な役割を担っている。
私が一番、恐れているのは、
毒キノコ=悪
食べられるキノコ=善
の図式に子供がはまってしまい、
毒キノコは避けるべき、撃退すべき存在、と認識してしまう事。
この固定観念を打破して、キノコの正しい役割を説明してくれる番組って、National Geographicなどは作っていそうですが、日本制作の番組は聞いたことがない。
メディアを通して目に触れるのは、大抵、毒キノコに当たってしまった事故のニュース。
「今日は、○○地方で、様々な野生キノコが満開になっています!」
なんて報道は、桜と違って、まず有り得ない。
普段、こんな風に、キノコに対するメディアの取り上げ方に疑問を抱いている私は、JET STREAMの些細な間違いにも目くじらを立ててしまうのですが、
文句を言ってばかりでは仕方がないので、
このブログで、細々と、豊かなキノコの世界を、時々試食しながら、これからも紹介していくつもりです。
(おまけ)
9月は、キノコシーズン真っ盛り。
そして、毎年、必ず何かしら報道されるのが、キノコ中毒の話。
この手のニュースで出てくるキノコは、大体決まっていて、
例えば、代表的なのがツキヨタケ。
致命的ではないが、食べると嘔吐や腹痛に見舞われる、毒キノコ。
可食キノコのムキタケやヒラタケとよく間違われることで有名。
検索すれば、すぐに、誰かが中毒した、とのニュースが出ます。
今年もありました。 例えば、これ↓ 毒キノコ「ツキヨタケ」で食中毒|TOSニュース|TOSテレビ大分
ツキヨタケの判別方法は、傘を割ってみること。 軸の中が、写真の様に藍色になっている。
私も登山中に何度か見かけましたが、素人の私でも、割ってみれば、簡単に判別出来ます。
それなのに毎年中毒者が絶えない。
こうした、不注意による中毒事故を、自ら防ぐ事も、メディアの過剰報道を防ぐ上で大切です。
まずは、正しい知識と、不注意をなくす事。
これが大事!